20. ラジオルミノグラフィシリーズ連載を終わるに当たって

栗原紀夫*1, 宮原諄二*2, 中島栄一*3

*1元京都大学放射性同位元素総合センター
〒606-8501 京都市左京区吉田近衛町
*2一橋大学イノベーション研究センター
〒198-6603 東京都国立市中 21
*3三共(株)薬物動態研究所
〒 140-8710 東京都品川区広町 1258

Key Words :
radioluminography (RLG), Imaging Plate, photo-stimulated luminescence, bioimaging analyzer, phosphor imager, auto-radiography, quantitative autoradiography

† Instruments for Radiation Measurement in Biosciences : Series 3. Radioluminography.
20. Summarization of the Radioluminography Series.
Norio KURIHARA*1 : Formerly ; Radio-isotope Research Center, Kyoto University, Yoshidakonoe-cho, Sakyo-ku, Kyoto-shi 606-8501, Japan,
Jyunji MIYAHARA*2 : Institute of Innovation Research, Hitotsubashi University, 2-1Naka,Kunitachi-shi,Tokyo186-5603,Japan,
Eiichi NAKAJIMA*3 : Drug Metabolism and Pharmacokinetics Research Laboratories, San-kyo Co., Ltd., 1-2-58 Hiromachi, Shinagawa-ku, Tokyo 140-8710, Japan.



1. はじめに

当アイソトープトレーサ研究用機器専門委員会は, 「アイソトープトレーサ研究用機器」 について, 原理や特徴・問題点を調査・検討し, 新しい応用例や工夫をも含めて広く紹介していくことを重要な一つの役割と考えている。 今回とくにラジオルミノグラフィ (Radioluminography, RLG) のみを取り上げ, 一定期間これ以外に原則的に触れずに20回もの連載でシリーズとして紹介してきた。 すなわち, 「機器」 という委員会名にこだわらず, 研究用の 「技術」 としてこれを対象とした。 これは, この技術の数々の特性と広い分野への応用が日々明るみに出てきており, まだまだ秘められた可能性がある技術領域の宝庫であると感じられたからである。 そしてその可能性をさらにどんどん開いていくためには, これまで次々と開発されてきた技術や, さまざまな工夫から生まれてきたノウハウをできる限り幅広く解説するとともに, 具体的な課題や問題点をも明確に指摘することがまず大切であろう。 そのような記事を参考にすれば, それは新たな分野の開拓や新たな技術・ノウハウの開発へ結びつけようとする意欲的な試みにとって頼もしいガイド役にもなるのではないかと考えた。

連載を一応終わるにあたって, このような企画にかかわった一人として, そのねらいが成功したかどうかが気になるが, そのことは今後このシリーズを糧とした価値ある研究成果が現れることによって示されていくであろうと信じている。

ここでは, シリーズの締めくくりとして, ざっとふりかえることとする。
1991年に RLG 研究会 (初代会長 : 水平敏知先生) 発足記念講演会が開かれた際の講演集をひも解いてみると, 東京工科大学の塩谷繁雄先生 (所属は当時<以下同様>, また敬称は以下略す) が 「富士フイルムの宮原さんと一緒に揮尽発光の研究をおこなってきました」1) としていることでもわかるように, この 2 研究者がラジオルミノグラフィの理論と応用の基礎を作ったと言えるであろう。

システムの開発に関して, 以下少し述べる。
輝尽発光現象を用いた検出器 ("イメージングプレート") により放射線像を検出するシステムは, 1981年に富士写真フイルムから従来のレントゲン写真法に代わる医療用デジタルX線画像診断システムとして発表され, 1983年に市販が開始された2)。 一方, オートラジオグラフィ (ARG) 専用の定量解析システムは1987年にバイオイメージングアナライザ (BA-100) として登場しており, 同年の薬物動態学会で組織中濃度測定への驚くべき応用性が初めて報告されている3)。 そして日本原子力産業会議の放射線利用研究会イメージングプレートに関する小部会をはじめ, 先覚者らによる本技術の普及活動によって, さまざまな分野での応用研究が急速に水かさを増していったのである。

以来, すでに早くも20年を経過したわけである。
とすれば, さらにこの技術を発展させて行くことに努力を続けることはもちろんのこと, これらの事実を種々のメディアを通じて広く発信して行くことも大切なのでは無いだろうか。 そのような発信のささやかな試みの一つとしても, 本シリーズのねらいはあった。 そして実際, 本シリーズの連載予定の概要として第 1 報 (栗原ら4)) で挙げたテーマは, 関係者のご努力によってほぼ網羅することができた。

何しろ, ラジオルミノグラフィを使い, それぞれの一線の分野で活躍中の研究者によるホットな解説ばかりである。 あらためてここで振り返って見ると, 「ささやかな」 とは言えないしっかりした解説群ができ上がったように思う。 ここで, 単に 「まとめ」 を記しても, 屋上屋を重ねるばかりになりそうである。 そこで, いささかバランスを失することを恐れず, 気づいた諸点を任意に取り上げて見ることとしたい。

2. 各種のバリデーション共同研究によるオートラジオグラフィの定量性 (全身オートラジオグラフィ (WBA) と薄層クロマトグラフィ (TLC) の定量解析)面均一性と測定値直線性の検証

ラジオルミノグラフィによるオートラジオグラフィの定量化という画期的な展開の実現に最も積極的に取り組んだ領域の一つに薬物動態研究への応用があった。 田中ら5) に詳述されたように, 薬物動態談話会では, 「ラジオルミノグラフィという技術が薬物動態研究にどの程度役立つであろうか」 というテーマのもとに 21 社の製薬機関が参加して共同研究を実施した。 テーマは装置間の再現性, および組織中濃度と薄層クロマトグラフィ上の放射性スポットの存在比率について既存の液体シンチレーション計数法 (LSC 法) との相関性に関するバリデーション試験である。

特筆されることは, この成果が, 公正を期すために別に構成された 5 人の学識者 (薬学系教授) よりなる評価委員会によって厳正に審査されたことである。 その結果, ラジオルミノグラフィが注意深く実施されるとき, 従来の手法と等価な成果を与えるのみならず, いくつかの点で優れていることが実証された, という評価が与えられている。

このような共同研究はまことにすばらしい試みで, しかもその成果が次項のガイドラインを生かすという実際面において, 強固な基盤を形作ったと言える。

さらに, 長塚6) に詳述されているように, ラジオルミノグラフィ研究会では, 上記の評価委員会が検討事項として指摘した項目の中で, "装置の面均一性, および施設間での検量線の再現性" の 2 点を取り上げ, 研究会所属製薬企業 30 社が参加したバリデーション試験を実施している。

このような日本の動きに刺激され, ヨーロッパの task group が同様の 「定量的分布研究へのラジオルミノグラフィのバリデーション」 と称する研究7) を行って発表したことも追記しておかなければならないだろう。

また, 輝尽発光 (PSL) 値とベクレル値とを結び付ける努力に注意を喚起した上で, 独自の定量測定法の体系化について馬場8) が述べていることに耳を傾けたい。

3. 非臨床薬物動態試験のガイドラインで明記された定量法への全身オートラジオグラフィの利用

非臨床薬物動態試験の新ガイドラインに, 全身オートラジオグラフィの定量解析法を, 定量的分布すなわち臓器および組織内濃度分布を測定する方法として利用してよい, との注釈がつけられたことはまさに 「画期的」 なことである。 そこでは 「......適切にバリデートされたものでなければならない」 との条件がつけられていることから, 上述のバリデーションの重要性がわかる。 進藤9) に詳しく解説されている。

4. 技術の解説, すなわち一般的な利用法, 測定法としての利用などにおける方法・原理の解説

本シリーズの開始前におこなったアンケートで多くの質問が寄せられている。 これについては, 一連の定量解析操作に伴う変動要因とその対策が筆者らの経験に基づいて詳細に説明されているほか, 質問で提示されたごく初歩的な問題点から, かなり高度な試みの中で現れた疑問点個々に対する回答という形で, 中島, 河合10), 11) に解説されている。

また, ダブルラベル試料分析については小幡ら12) が解説を加えており, 実際の先端的研究への応用例を用いながら, さまざまな原理のダブルラベルの手法について, 手法と問題点および解決のヒントが紹介されている。 また, 南戸13) に見られるように, 輝尽性発光体をベースにした原理の解説および未だ明らかにされていないフェーデイングのメカニズムへの取組みと, イメージングプレートを用いた先端的放射線計測技術の現状と今後の展望が論じられており, 透明なガラスによるイメージングプレートへの取組みなどの事例が挙げられた示唆に富む論文もある。

5. ラジオルミノグラフィを放射能測定法として使う, すなわち多数の試料それぞれのスポットを作り, それぞれを定量する方法の解説

ラジオ高速液体クロマトグラフィ画分の定量について, 堀江14) が詳しく解説しており, フロータイプのラジオディテクタを利用する方法や画分を液体シンチレーションカウンタで測定する方法より感度良く, したがって微量成分検出に威力を発揮する上, 測定で消費する試料量が少なくてすむ, そしてダイナミックレンジが広い, さらに測定経費があまりかからないなど, 種々の利点が見られる。 しかし少し手間がかかると言うことからか, この方法があまり普及していないようなのは残念である。 もし試料調製 (マイクロプレート各ウエルへの画分分注・乾燥と, これのイメージングプレートとの密着まで) などをもっと自動的に行う装置ができれば, 劇的に普及すると思われる。 こうした方向での開発はメーカーにとって採算のあわないことだろうか。 検討してみてもよい課題だと考える。

ただ, ラジオルミノグラフィを, 同じく多数の試料の放射能測定を行う方法として利用する場合でも, 金居, 内田15) や中島16) が紹介している実験への適用には, 煩雑さや手間のかかり具合が他の方法と比べても大差がなく, むしろ数々の性能においてラジオルミノグラフィの利点が大きく生かされるので, これらは, 今後どんどん普及するのではなかろうか。

6. マクロ的な対象への適用

以下はすべてイメージ (=画像) 形成技術の側面を必ず (部分的にでも) 使っている。

マクロの(オート)ラジオグラフィ利用としては, 骨形態観察 (古田, 福田17)), ポジトロン投与動物での PET (positron emission tracer) 法 (バイオラジオグラフィ) (渡辺ら18)), それに, ポジトロン投与植物試料におけるイメージング (松橋ら19)) などの解説がある。

この中で, 骨形成観察への応用では, 骨のX線像を解像度を落とさずに映像記録とするため, マイクロフォーカスX線管を使うことが特徴であり, その記録媒体としてイメージングプレートを使う方法である。 これはディジタルマイクロラジオグラフィシステムとして市販されているもので, 従来法でできなかったことができる点など, その威力がよくわかる解説である。

一方, ポジトロンをトレーサとして用いる二つの研究の解説を読むと, 医療・医学分野以外の領域でバイオサイエンス全般に, サイクロトロンで製造したばかりの短寿命ポジトロン放出核種 C-11, N-13, O-15 などが, いよいよポピュラーになり始める兆候をはっきりと示すものである。 ただし, サイクロトロンが至近距離にある実験室でないと (F-18 を除き上の 3 核種を使う場合) そのような実験の実施は困難であり, サイクロトロンの導入や, これを持つ研究施設との共同研究を試みることが盛んになるであろう。

上記の解説のうち前者の研究は動物組織切片を使うことによって, in vivo に非常に近い状態で動物の中の薬剤の動態を追究できることを数々のオートラジオグラフィ像で示している。 そこではまず, 極端に半減期が短いことから, 比放射能の非常に高い標識化合物が得られること, そのおかげで生理活性の高い薬剤 (化学物質) の極微量の検出が可能となり, 短時間で画像が得られ, 必要に応じて次々と時間経過を追いかけ動態を知ることも可能となる。 また画像を作るのは消滅 線でなくポジトロン線であること, そのため非常に鮮明な画像が得られることも示されていて, これら核種の特徴をうまく利用している。

後者の植物を材料とする実験においては二次元位置敏感型シンチレーション検出器を併用している。 これは試料をはさんで相対する二つの検出器で消滅ガンマ線を同時計数する事によって消滅位置すなわちポジトロン核種存在位置を知るものである。 ここでは 1 時間程度の観察を続ける必要があり F-18 という比較的長い半減期のポジトロン核種を使って, F イオンによって水の動きを追いかけている。 最終的な F-18 の分布はイメージングプレートを使って画像を得ている。 この画像については厚さの異なるアルミ板を挟むなどしてポジトロン線の画像形成へのそれぞれの寄与を見ており, それぞれの放射線がつくる画像に違いが出てくることがはっきりわかる。 同じくポジトロン放出核種を用いる実験でも, それぞれの目的・試料に応じて, 核種の選択, 検出方法などに工夫がいることがわかる。

7. ミクロ的な対象への適用

対象が分子レベルという意味では, 中性子イメージングプレート利用の蛋白質等の観察 (新村20)) が上げられる。 ここでのイメージングプレートの利用は中性子回折パターンを見るためのもので, いわゆるミクロのオートラジオグラフィでないことはもちろんである。

中性子線を検出するにあたっては, 検出素子 (ここではイメージングプレートの輝尽発光本体である蛍光体)に感ぜられる放射線に変換しなければならない。 ここでは Gd を中性子コンバータとした中性子イメージングプレートが開発された経過が触れられ, 使われた例が簡潔に紹介されている。 幾つかの蛋白質結晶の中性子回折像を得ており, その位置分解能, 直線性, 一様性の優れていること, プレートが可塑性に富み (柔らかく), 円筒形にして試料を包み込むようにして使えるなどの特性が述べられている。 限られたスペースでの紹介記事であるため, 詳しく知りたい人たちのための解説・総説論文も紹介されている。

電子顕微鏡イメージングプレートについての及川21)の解説は, 透過電子顕微鏡 (TEM) では試料の微細形態を実空間の像として直接観察するので, その分解能 (0.2nm 前後, 原子や分子を直接観察できるレベル) に対応する実空間画像を記録する媒体としての透過電顕用イメージングプレートの重要性をまず指摘している。 そのために開発されたイメージングプレートの特性について述べ, 分解能と感度の両面を最適化したイメージングプレートを開発した経緯を簡潔に解説している。 さらに, イメージングプレートに蓄積された情報が時間経過とともに減少するフェーディングについて詳細に解説しており, フェーディングを補正した定量解析や絶対測定の可能なことを示している。 今後の発展がますます期待されることが読み取れる。

8. 自然放射能分布への応用

理工学同位元素発表会 (1999年) でキュリー夫人の実験ノートをイメージングプレートで測定した画像が報告されたが, まるで天の川の瞬きのように鮮やかな放射能スポットが 7 月 7 日の朝日新聞の一面を飾ったことを鮮明に記憶している。 自然放射能分布への応用 (22)) は, 感度がよく, しかも蓄積型の検出原理を持つイメージングプレートの特性を生かし, 種々の試料を測定し, 興味深い数々の画像を紹介している。 食用の豚肉, バナナ, ショウガなどや, その他の植物材料, 鉱物などにプレートを密着させることにより, 放射性物質がそれらの中でどのように分布しているかが一目でわかる像を得ている。 眼鏡 (近ごろはガラスに取って変わってほとんどプラスティックがレンズに使われているようだが) のガラスによる感光像, あるいは女性の装飾品・アクセサリー, さらには陶器などによる像も示されている。 自然界でのたとえばカリウム (K-40) の分布 (昆布に多いなど) などの簡便な観察に使われることや, 幾種類かの鉛の放射能分布像を見ると, 教育の材料などとしても好個のものになるように思える。 もちろんこの解説の中で言及されている生理学や保健物理学などへの応用も期待される。

9. 放射線管理への応用 (山寺23))

放射線管理を実際に担当した人なら, その苦労がさまざまであり, 語るに事欠かない話の種があるであろう。 苦労の一つは, 放射能汚染が推定されたり発見されたりしたときの正確な放射能分布とその量的な把握であろう。 この解説では, そのようないくつかの場面でのイメージングプレートの巧妙な利用が示されている。 このプレートの可塑性を生かして, 大型装置の中のガントリー内という通常ではきわめて測定しにくい箇所の汚染を測定した例が示されており感心する。 スミア濾紙の測定や, 貯留槽中の排水の測定など日常の放射線管理にすぐ応用できる例も解説されている。

この面でのラジオルミノグラフィの応用も今後ますます広がるものと見られる。

10. 今後の展望と期待

以上のように一応の分類を行ってみたが, 非常に多岐にわたっていることは, とりもなおさず本技術の多能性を現わしている 〈脚注 1〉。 上記分類と違い, 放射線の種類による分類もできるし (ポジトロン, 中性子線等), 大きい学問分野で, 生物学, 化学, 物理学などに従った分類法もあるであろう。 いずれにせよ, 放射性物質をトレーサなどとして扱う実験が含まれるような領域では, ラジオルミノグラフィの技術のまだまだ大きい展開が予想されるのである。

今後の課題としては, 測定の自動化である。 たとえば医薬品のスクリーニング (HTS) ロボットより出る多量のマイクロプレートなど, 形の定まった試料であれば自動的に解析するシステムの開発ができないだろうか。 この点ができなければ放射能測定法として液体シンチレーション計数法の便利さの方に軍配をあげる研究者がほとんどであるのはやむを得ない。 この点が液体シンチレーション計数法の人気の落ちない原因であろう (〈脚注 2〉 の新製品には自動解析機能がついているようである)。

このような期待を抱きつつ, 本シリーズの一応のしめくくりを終わる。

なお, 今回の第 3 シリーズ全文を, 日本アイソトープ協会のホームページに掲載する予定ですので, 全体を通じて御覧になりたい方は, そちらも御覧下さい。 ただし掲載準備に若干の日時を要しますことを付け加えます。



脚注1
新たにラジオルミノグラフィを試行する研究者への支援 : ラジオルミノグラフィ研究会で現在貸与可能なイメージングプレートを数十枚用意している。 希望者にイメージングプレートを貸与し, 測定を補助, あるいは技術指導等のサービスを行って, 本技術の振興に寄与する試みである。 まだ装置は持っていないが一度使って見たいという研究者にとって, 有り難い支援であろう。 (連絡先 : ラジオルミノグラフィ研究会事務局, 03-3406-2201 五月女 惇, 三浦研二)

脚注2
高エネルギー加速器研究機構物質構造科学研究所名誉教授の坂部知平氏らは, 放射光 (X線) による蛋白結晶構造解析データ収集を, 高速・高感度に全自動で行うことのできるシステムを開発した。
同システムは, すでに, つくば市にある高エネルギー加速器研究機構の放射光施設 (PF) のビームラインに設置されており, 2001年 4 月より公開される予定になっている。
今回開発されたシステムでは, 1 サンプル当たりのX線解析データの取得が秒単位で可能となっている。 そのため, サンプルさえあれば, 大量の蛋白の解析データを高速に取得することができる。
また, 大量, 高速の解析は, 蛋白の主鎖の解析に十分な分解能 ( 3 オングストローム) で行うことができるシステムは, データ収集部 (愛称 Galaxy) とデータ処理計算機から構成されている。 Galaxy の特長は, 円筒型のイメージングプレートを回転させながら, データを収集することができるため, 1 つのイメージングプレートで最大 36 枚の解析像を記録できることである。 また,読取り用のレーザーヘッドも 5 個準備されており, 解析データの読取りも高速化されている。
このシステムは, 日本学術振興会未来開拓事業で1996年度-2000年度の 「放射光による生体高分子結晶構造解析用高速高精度高分解能自動データ収集システムの開発」 により開発されたものである。 (日経バイオテク 2000.12.4 号) から抜粋。




文  献


1) 塩谷繁雄 : 輝尽発光 (Photostimulated Luminescence)の機構について, Radioluminography, 1 (1), 19 (1992)
2) Sonoda, M. and Takano, M. Miyahara, J. and Kato, H.:Computed radiography utilizing scanning laser stimulated luminescence, Radiology, 148, 833838 (1983)
3) 中島栄一, 安川勝衛, 篠崎速雄, 松原行雄, 藤下繁人, 岡野伸一 : 全身オートラジオグラフィの定量化および FO-1561 のラット組織分布測定への応用, 薬物動態, 3 (6), 747760 (1988)
4) 栗原紀夫, 中島栄一, 高橋千太郎 : バイオサイエンスのためのアイソトープ測定機器 : 第三シリーズ ラジオルミノグラフィ (RLG, 放射線測定ルミネッセンス輝尽性発光技術) 1. RLG 技術利用研究者へのアンケート結果, Radio-isotopes, 47 (11), 864871 (1998)
5) 田中 實, 重松昭世, 長塚伸一郎, 中島栄一 : 同上, 6. 全身オートラジオグラフィと TLC の定量解析に関する validation―ラジオルミノグラフィによる標識薬物の動態に関する多施設共同研究 (薬物動態学会フォーラム93)を振返って―, 同上, 48 (4), 288298 (1999)
6) 長塚伸一郎 : 同上 4. 装置の面均一性と測定値の直線性のバリデーション, 同上, 48 (2), 132145 (1999)
7) Coe, R. and other authors : Regulatory Toxicology and Pharmacology, 31, S1S62 ( 9 編の論文) (2000)
8) 馬場茂雄 : 文献4)のシリーズと同じ, 7. ラジオルミノグラフィの定量測定法としての体系化―検出特性, バリデーション, 定量全身オートラジオグラフィ―, Radioisotopes, 48 (5), 352374 (1999)
9) 進藤英世 : 同上, 5. 全身オートラジオグラフィとガイドラインの歩み, 同上, 48 (3), 216226 (1999)
10) 中島栄一, 河合賢司 : 同上, 2. ラジオルミノグラフィによる放射能測定の一般的技術に関して, 同上, 47 (12), 953965 (1998)
11) 森 啓司 : 同上 3. BAS システムに関する FAQs (Frequently Asked Questions), 同上, 48 (1), 4862 (1999)
12) 小幡年弘, 岩本浩二, 白岩善博, 中島栄一, 河合賢司, 進, 藤英世 : 同上, 17. イメージングプレート (IP) によるダブルラベル試料の分析, 同上, 49 (12), 623636 (2000)
13) 南戸秀仁 : 同上, 14. ラジオルミノグラフィ用イメージングプレートの物理と先端放射線計測への応用, 同上, 49 (2), 8798 (2000)
14) 堀江正信 : 同上, 8. マイクロプレート-ラジオルミノグラフィとそのラジオ高速液体クロマトグラフィへの応用, 同上, 48 (7), 488503 (1999)
15) 金居正幸, 内田和彦 : 同上, 18. ラジオルミノグラフィによるマクロアレイ解析, 同上, 50 (1), 2732 (2001)
16) 中島栄一 : 同上, 19. ラジオルミノグラフィによる血液および各種試料中ラジオアイソトープの簡便, 迅速な測定法, 同上, 50 (2), 5867 (2001)
17) 古田嘉壮, 福田邦昭 : 同上, 9.デジタルマイクロラジオグラフィシステムによる骨形態観察―医薬品開発分野への応用―, 同上, 48 (8), 547553 (1999)
18) 渡辺恭良, 中村夫佐央, 田中雅彰, 村松 潔 : 同上 15. インビトロ PET 法 (バイオラジオグラフィ) の開発とその応用, 同上, 49 (10), 505518 (2000)
19) 松橋信平, 内田 博, 久米民和 : 同上 16. ポジトロンイメージング装置 (PETIS) とイメージングプレート (IP) による植物研究のためのポジトロンイメージング, 同上, 49 (11), 558570 (2000)
20) 新村信雄 : 同上, 11. 中性子イメージングプレートの構造生物学への寄与, 同上, 48 (11), 705711 (1999)
21) 及川哲夫 : 同上, 12.電子顕微鏡におけるイメージングプレートの応用, 同上, 48 (12), 752759 (1999)
22) 森 千鶴夫 : 同上, 10. イメージングプレートによる極微量放射能分布の測定, 同上, 48 (9), 589599 (1999)
23) 山寺 亮 : 同上, 13. イメージングプレートの放射線管理への応用, 同上, 49 (1), 3237 (2000)