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実験概要
SPAビーズ、FlashPlate、Cytostar-Tプレートの相違について
SPAの原理、技術
SPAビーズ
FlashPlates
Cytostar-Tプレート
Scintillation proximity assay(SPA)は、リガンド-受容体結合、酵素活性、タンパク質と核酸の分子間相互作用の研究など、多様な生物学的プロセスの解析のための迅速かつ高感度な技術です。SPAは分離ステップを経ることがなく、自動化が可能なため、ハイスループットスクリーニングに特に適しています。SPA は確立したテクノロジーで、500以上の文献に引用されています。
SPAビーズまたはFlashPlateのコーティングされたウェル、またはCytostar-Tプレートのベースに埋め込まれたシンチレータに放射性物質が接近すると、β線のエネルギーを変換し、青色発光します。それをフォトマル(PMT)を検出器とするシンチレーションカウンタで検出します。SPAイメージングビーズからの赤色発光は同様にCCDカメラベースの検出器で検出します。
水溶液中においてβ線が進む経路長よりも遠い位置で発生する放射性崩壊はシンチレータを刺激しません(図1)。これにより、遊離リガンドを結合リガンドから物理的に分離する必要がなく、良好なシグナル対ノイズ比が得られます。
SPAは、シングルチューブから1536ウェルプレートまで拡張可能で、自動化が可能です。
この技術の主な利点は、着目する生体分子、リガンド、または基質の生物学的特性を乱すことなく、3H、125I、33P、14Cのいずれかで特異的に標識できることです。
シンチレーション近接アッセイ技術の原理
このアッセイは、ビーズベースとプレートベースのさまざまな形式で実行できます。使用する形式の選択方法は目的とするアプリケーションごとに異なります。
Cytostar-Tプレートは、培養生細胞の反応性を用いたアッセイに推奨されます。Cytostar-Tプレートは、リアルタイムで非侵襲的な生細胞分析を行うために特別に設計された滅菌済みのマイクロプレートです。
受容体-リガンド結合、酵素的、分子間相互作用、ラジオイムノアッセイなどの生化学的アッセイでは、ビーズベースのフォーマット(SPAビーズ)またはプレートベースのフォーマット(FlashPlate)のいずれかを選択します。どちらのフォーマットも、ビーズまたはウェル表面に目的とする物質を補足するためにコーティングがなされています。
これら2つのフォーマットのどちらを選択するかによって、アッセイのサンプル数が決まります。 SPAビーズベースのアッセイは、シングルチューブ、96、384、1536ウェルのマイクロプレートフォーマットで実施できます。FlashPlateベースのアッセイは、96ウェルフォーマットで実施できます。
ビーズベースのフォーマットの利点は、ビーズ表面積が大きいため、効率的にリガンドと結合させることができることです。さらに、ビーズ添加、無添加の状態で相互作用を調べることができることも利点です。
一方、プレートベースでは、ウェルの内壁と底の表面積に制限されます。
2つのアッセイフォーマットを選択するには、最良のシグナルと最大のアッセイウィンドウ(高いシグナル対ノイズ比)という観点から経験的に判断します。
放射性同位元素が崩壊し、放出される放射線の到達距離以内にSPAビーズが存在した場合のみ、SPAビーズは発光し測定可能となります。
放射線が水中を進む距離は、そのエネルギーの強さ、つまり核種に依存しています。たとえば3Hでは放出されるβ線がシンチレータを励起できる距離は1.5µmしかありません。このためSPAビーズ上に結合させた受容体と放射性標識リガンドが結合した場合のみシグナルを生じ、アッセイバッファー中に存在する放射性標識リガンドはシグナルを生じません。以上より、結合していない放射性リガンドの分離操作なしにアッセイを行うことができます。
SPAを使った検出には3Hあるいは125I が適しますが、以下の表に示す核種で測定が可能です。ただし、33Pではβ 線エネルギーが高いので、バックグラウンドを下げるために洗浄操作が必要となる場合があります。
詳細はこちらをご覧ください。
SPAビーズ
詳細はこちらをご覧ください。FlashPlateは、SPAのプレートベースバージョンです。
各ウェルの内部は、ポリスチレンベースのシンチレータでコーティングされており、液体シンチレーションカクテルを添加することなく、さまざまな同位体(3H、125I、14C、33Pなど)を使用したアッセイが可能です。FlashPlateは、96ウェルが利用できます。
FlashPlate
詳細をこちらをご覧ください。
このプレートベースのSPAは、組織培養用の滅菌済みマイクロプレートを利用します。CytoStar-Tシンチレーションマイクロプレートは、付着細胞だけでなく浮遊培養用にも用いることが可能です。
各ウェルはシンチレータとポリスチレンの均一な混合物で構成されています。ウェルは透明なので播種した細胞を観察することもできます。
本アッセイに適切な放射性同位元素(3H、14C、35S、33P、45Ca、125I)は、ウェルに含まれるシンチレータに近接し、放射性同位元素の崩壊が光シグナルに変換されます。生成される光の量は放射性同位元素の量に比例します。
Cytostar-Tプレート