細胞および代謝標識(総論)

目次

実験概要
実験用途


実験概要

放射性細胞標識実験では、放射性標識された化合物または前駆体(アミノ酸、DNA前駆体、または代謝前駆体など)を培地またはバッファーに添加することによって細胞に供給します。放射性標識化合物は細胞によって生体内の代謝前駆体と同様に代謝されます。

例えば、DNA合成を測定するために放射性標識チミジンを使用します。場合によっては、代謝できない化学物質の類似体(グルコース取り込みアッセイにおけるデオキシD-グルコースなど)を使用して、放射性化学物質が代謝されずに細胞内に留まることで取り込みプロセスをモニターすることもできます。

実験用途

3Hチミジン取り込みアッセイ

チミジン取り込みによる細胞増殖アッセイは、リンパ球の増殖を刺激または阻害する天然・合成化合物の能力を評価するために、免疫学、癌、幹細胞、および創薬研究で頻繁に使用されます。
細胞増殖アッセイは、細胞分裂中に生成されるDNAの複製鎖への、放射性標識されたDNA前駆体である3H-チミジンの取り込みを測定します。

35Sメチオニン標識

35Sメチオニンや35Sシステインなどの低エネルギーのβ線放出核種による細胞の標識は、生体内での代謝、すなわちタンパク質の生合成、成熟、分解を検出するためによく使用されます。

32Pおよび33Pオルトリン酸標識

細胞ベースの放射性リン酸化アッセイは、細胞に32Pまたは33Pを供給するために無リン酸培地を使用します。

グルコース取り込みアッセイ

グルコースの取り込みアッセイは、細胞の代謝活性と細胞生存率の測定に用いられます。また、グルコース代謝の研究(糖尿病などの代謝障害等)にも使用されます。