クエンチング補正

 クエンチング補正法には,内部標準法,試料チャンネル比法および外部標準法などがあります。以下,それぞれの方法を述べます。
 1)内部標準法
  試料測定終了後,既知の内部標準体(104〜105)を添加し,再測定後,試料の放射能を算出します。この場合,内部標準体はクエンチングを起こさないこと,測定核種と同じ核種であることが必要です。
 2)試料チャンネル比法
  β線スペクトルの2つのチャンネルにおける計数の比(試料チャンネル比)もクエンチングの影響を受けます。この際,試料チャンネル比と計数率との間に相関性があります。すなわち,まず,試料チャンネル比Rを(チャンネルBのcpm)/(チャンネルAのcpm)と定義し,3H(または,14C 標準クエンチング試料を用いて,試料チャンネル比と計数効率の関係(クエンチング補正曲線)を作成し,以下,次の測定を行います。
 a) 3H(または,14C)チャンネル領域を決定します。
 b) 複数の標準クエンチング試料を用い,チャンネルAの計数率と標準クエンチング試料の放射能比から各標準クエンチング試料の計数効率(E)を求めます。
 c) 各標準試料のチャンネル比nB/nAを求め,計数効率EとnB/nAの関係(クエンチング補正曲線)をプロットします。
 d) 上項c)と同条件で放射能未知試料の放射能を測定し,試料チャンネル比(nA/nB)とnAを求めます。
 e) d)項で求めた試料チャンネル比をクエンチング補正曲線に補間し,試料の計数効率Eを求め,nA/Eから測定試料の放射能(dpm)が求められます。
 3)外部標準法
  測定試料を外部標準体からのγ線で照射し,主にコンプトン効果によって生じるコンプトン電子による発光を計数して計数効率を求めます。この方法には,外部標準計数法ESC:external standard counts と外部標準チャンネル比法ESCR:external standard channel ratio があります。