壊変速度

 放射性元素の集団では,全原子すべてが一度に壊変するのではなく,その一部がある確率で順次壊変します。これを数学的に考えると,N個の原子の内,単位時間あたりに壊変し減少する数(-dN/dt)は,

・・・・・・(1)

のようにNに比例する値となる。ここで,λは壊変定数といい,それぞれ放射性元素に固有の値となります。
 この(1)式を積分すると,

・・・・・・(2)

となります。ここで,N0はt=0のときの原子数です。(2)式において,NがN0の 1/2 になるまでの時間をTとしてこれらを代入すると,

・・・・・・(3)

が得られます。λを(2)式に代入すると,

・・・・・・(4)

となり,このTを半減期といいます。

 例として,32P,33P,35S,45Caおよび3Hの原子数比(または,放射能強度比)の経時変化を図に示しました。

この図において,それぞれの原子数比が 1/2 になる時間が半減期であり,表に示すように各放射性元素固有のものです。

また,(1)式に示したλNの値は単位時間(1秒)に壊変する原子数,つまり放射能量(Bq)を表しています。