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実験概要
アッセイフォーマット
主な準備物
プロトコル概要
その他のプロトコル
アッセイの最適化のために考慮する項目
ヒント
引用文献
FlashPlate®は、シンチレータがプラスチックに埋め込まれた特殊なプレートです。FlashPlateアッセイでは、細胞膜がFlashPlateのウェルの底と側面に捕捉されます。放射性標識リガンドが結合すると、これにより放射化学物質がFlashPlateの底面および側面に近づきます。放射性標識リガンドから放出されるβ線は、ウェルのプラスチックに埋め込まれたシンチレータと相互作用し、シグナルを生成し検出可能となります。結合していない放射性標識リガンドは溶液中を浮遊しており、ウェルの壁面には接近できないためシグナルを生成しません。
FlashPlateアッセイ
FlashPlateのウェルに細胞膜を吸着させる方法は2つあります。
基本的にはFlashPlates(コーティングなし)を使用して、細胞膜をウェルに直接コーティングします。
もしくは、小麦胚芽凝集素であるWheat Germ Agglutinin(WGA)コーティングされたWGA FlashPlateを使用して細胞膜を吸着させることもできます。WGA FlashPlateは、Gタンパク質共役受容体(GPCR)結合アッセイ用の96または384ウェルフォーマットで用いられます。この技術は、WGAをマイクロプレートへ共有結合で組み込んでおり、安定した結合能力を発揮します。
各FlashPlateは、ポリスチレンベースのシンチレータ、独自のタンパク質、さらにWGAでコーティングされています。WGAは受容体を捕捉するための、均一でハイスループットな受容体-リガンド結合アッセイに用いられ、GPCR以外の組換え受容体を使用して実施することもできます。
・コーティングなしのFlashPlate
・目的の受容体を発現する細胞膜
・放射性標識リガンド
・非標識リガンド(非特異的結合を測定するため)
・必要に応じたリガンドおよび試験化合物
・検出器
アッセイを最適化するために、試薬の添加順序とインキュベーション時間を調整して実施します。
FlashPlateリガンド結合アッセイのワークフロー
FlashPlate(コーティングなし)に細胞膜を直接コーティングするためのプロトコル:
使用前に、非特異的結合部位をブロックするために、0.5%BSAを含む2.5 mM CaCl2、1 mM MgCl2、25 mM HEPESバッファー(pH 7.4)を各ウェルに加え、室温で30分間放置します。
受容体を発現する細胞を上記のHEPESバッファー(pH 7.4)で目的とする細胞膜タンパク質濃度に希釈します。希釈した細胞膜タンパク質の懸濁液(230μl)をFlashPlateマイクロプレートの各ウェルにピペットで入れ、プレートを4℃、800 x gで10分間遠心分離します。上清を除去し、プレートを4℃で一晩放置します(3時間でも実施可能)。
・細胞膜または受容体の量
・結合バッファーの組成
・試薬添加の順序
・インキュベーション時間
・各プロセスの温度
・実験には、可溶性受容体、目的遺伝子を高発現した細胞膜が必要です(> 100,000受容体/細胞、または > 1pmol / mgのタンパク質)。
・125I標識リガンドのような高い比放射能のリガンドを使用することで、より高いシグナル/ノイズ比が得られます。
・アッセイで使用する濃度を決定するために、細胞膜/受容体の力価測定をお勧めします。
・界面活性剤、タンパク質、その他の添加物することによって、非特異的結合を減らすことができます。しかし、これらは細胞膜のプレートへの結合、またはリガンド-受容体の結合を阻害する可能性があります。
・受容体をFlashPlateに直接結合する場合は、遠心分離操作が必要です。
・FlashPlateアッセイで3H標識リガンドを使用する場合、細胞膜の量を1ウェルあたり20μg以下にすることをお勧めします。
・3H標識されたリガンドは検出できるカウント数が低くなるため、アッセイが難しくなる場合があります。