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目次
① 概要
② 汚染した場合の対処の流れ
③ 除去作業例
④ 部位別の汚染対処法
・汚染はどんなに気をつけていても、実際には起きてしまいます。汚染を確認したら、汚染を拡大させないために一人で対応しようとせず、周りの人に協力を求めてください。さらに放射線安全管理担当者に連絡し、安全性・労力・廃棄物量を考えながら対処しましょう。
・おそれない:きちんとした防御をして、しっかりとモニタリングすれば除染は安全にできます。
・あわてない:あわててしまうと、拾い上げた汚染源を再度落としたり倒したりして、かえって汚染領域を広げてしまいますので、落着いて除染してください。
・あなどらない:手袋をしてろ紙で拭き取っているから大丈夫、汚染範囲内の除染が終了して一安心!...ではありません。手袋の汚染に気づかずにその手袋で触った場所が汚染していませんか?汚染範囲外のモニタリングはしましたか?注意深く除染を行うよう、心がけてください。
⑴ 汚染位置の明確化
・汚染箇所ごとに対処することが効果的です。まずはサーベイメータ等を用いて汚染位置を明らかにします。
・汚染位置が明らかになったら、テープなどで囲います。
⑵ 連絡
・放射線安全管理担当者や管理室など、施設で定められているところに連絡します。
⑶ 除去作業
・放射線安全管理担当者等の指示に従い、汚染を広げないよう、汚染の低い方から除去作業を実施します。
・また、汚染物が廃棄可能であればビニール袋や廃棄容器に移し、取り除きます。
⑷ 報告
・汚染の除去が終わり次第、月日、氏名、結果の詳細を放射線安全管理担当者等に報告します。
・汚染させてしまったことは仕方がありません。その後の対処がとても大事になります。
・自身で対処できた小さな汚染でも、汚染が残っていることもありますので、放射線安全管理担当者には必ず報告してください。
⑴ 事前準備
・除染前に必ず、身体や衣服に汚染がないかを確認してください。
・汚染をしていた場合には、身体や衣服の汚染除去から始めます(④参照)。
⑵ サーベイメータやスミア法により汚染範囲を明確化
・3Hや14C等の低エネルギーβ線の核種を使用していた場合は、GM管サーベイメータでは検出できないためスミア法を実施します。
⑶ 適切な除染剤の準備(推奨)
・有機化合物は以下の除染剤を推奨します。
・内部被ばくを防ぐため、酸性やアルカリ性の洗剤を使用する場合は化学反応によってRIを含んだガスが発生しないように注意が必要です。
対象となる物質 | 用いる除染剤 |
酸性の物質 | アルカリ性洗剤 |
塩基性の物質 | 酸性洗剤 |
カルシウム等のイオン | キレート剤 |
その他の一般的な物質 | 中性洗剤 |
⑷ ふき取り作業
・ペーパータオルや布きれを用い、汚染が拡大しないよう、周囲から中心方向へ拭き取ります(ピンセットなどの使用を推奨します)。
・中心まで拭き取ったら、拭き取った部分とは別の部位で再度拭き取りを始めてください。
・汚染された溶液がなくなるまで、乾いたペーパータオルでふき取ります。その後、水ぶきを行い、モニタリングします。
・まだ除染されていなければ、除洗剤を使用して十分にふき取りを行います。
⑸ 除染の評価
・再度測定し、除染の評価を行います。汚染がBGレベルに下がるまで除染を繰り返してください。
⑹ 報告
・放射線安全管理担当者へ、汚染の理由や除染の方法や結果を報告します。
・以下の項目ごとに適した方法で、放射線安全管理担当者等に確認を取りつつ汚染を除去してください。
身体 |
・液体洗剤をつけ、柔らかい布やブラシで軽くこすりながら、大量の流水でよく洗い流します。 ・毛髪や爪の間は爪ブラシ等を使います。 ・水がはねて他の場所を汚染しないよう注意してください。 ・傷のある皮膚を汚染した場合(内部被ばくの危険性)や十分に除染できないときは管理室に連絡しましょう。 |
衣服 |
・服が汚染した場合は、汚染部分に触れないよう落ち着いてゆっくりと脱ぎ、ビニール等に入れ、専用の洗濯機を用い中性洗剤で洗います。 ・汚染がひどい場合はRI廃棄物として廃棄します。 |
機器・器具類 |
・チップラックやチューブラックなど実験に使用する備品の汚染していた場合、除染するか廃棄するかは施設管理担当者に相談します。除染する場合は、十分に洗浄を行います。 ・マイクロピペットが汚染した場合は、中を分解して汚染部位のみ洗浄します。その後、32P等の短半減期核種であれば減衰するのを待ちます。 ・遠心機のローターも汚染しやすいので、汚染してしまった場合は放射線安全管理担当者に報告します。 ・大きな機器等は汚染箇所のみを分解するなど、汚染が拡大しないようにします。除去するために中性洗剤、3~5%EDTA溶液、クエン酸アンモニウムなどを用いる場合があります。 |
固体(机、床等)の表面 |
・ペーパータオルや布切れ等で包み込むようにして拭い取ります。 ・使用した放射性試薬の性質にあわせて、水、中性洗剤、酸、可溶性錯塩形成剤の順番に薬剤を使用して拭き取ります。 |