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アイソトープ・放射線に係わる若手研究者の研究活動を積極的に支援するために、 RADIOISOTOPES誌に掲載された論文の著者に対し、「RADIOISOTOPES誌 論文奨励賞」を制定し、表彰しています。
受賞者 (投稿時の所属) |
掲載号 論文種別 |
論文タイトル |
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授賞理由 | ||
津田 路子 (群馬⼤学理工学府 電子情報・数理教育プログラム 博士前期課程) |
Vol.71,No.2 原著 |
イメージングプレートを用いた粒子線の可視化 |
本論⽂は、放射線診断用のイメージングプレートを用いて、がん治療で使われる粒子線を非侵襲的に高解像度で可視化する新たな手法を提案した。そして、ファントムを用いた照射実験を行い、提案した手法が正しいことを証明している。この手法を用いることにより、粒子線治療の照射野のずれを高い精度で検知することができ、放射線医療に大きな貢献が期待される。 以上のことから、論文奨励賞に値すると判断した。 |
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Suwannasaeng, Nattawipa (北里大学獣医学部) |
Vol.71,No.2 原著 |
External Exposure to Veterinary Staff and Pet Owners from 18F-fluorodeoxyglucose (18F-FDG) Positron Emission Tomography |
本論文は、愛玩動物(犬と猫)に対して、F-18 FDG-PET検査を実施した際の獣医療スタッフと飼い主(一般公衆)が受ける外部被ばく線量を、実測した動物の表面線量ならびに空間線量の推移からシミュレーションにより求めている。その結果から、現行の獣医療法に基づいたFDG投与から24時間の収容制限が過剰な規制であることを説明している。 以上のことから、論文奨励賞に値すると判断した。 |
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新吉 直樹 (大阪大学大学院工学研究科) |
Vol.71,No.2 原著 |
放射線を用いたスズ系ナノ粒子の合成および生成機構の検討 |
本論⽂は、放射線誘起反応を利用した新たなSn系ナノ粒子の合成手法の開発を報ずるとともに、合成条件の相違が生成物の構造、形態、及び化学状態に与える影響の調査結果に基づいて、当該ナノ粒子の生成機構を論じている。その成果は、比較的還元電位の低い金属元素を対象とした場合の粒子生成過程についての重要な知見を提供し、ナノ粒子材料合成技術の発展に多大な寄与を成すものと期待される。 以上のことから、論文奨励賞に値すると判断した。 |
受賞者 (投稿時の所属) |
掲載号 論文種別 |
論文タイトル |
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授賞理由 | ||
M.Amin CHOGHADI (東京大学大学院工学系研究科 総合研究機構) |
Vol.70,No.4 原著 |
Collimator-based Coincidence Imaging for Double Photon Emitting Nuclides |
本論文は、鉛フォーカシングコリメーターを備えた2光子コインシデンス測定による新規断層撮影測定法の提案と開発を記している。111Inを含む溶液を試料として本法を単一光子測定と比較したところS/N比を5倍向上させ、空間分解能の向上も達成した。低い計数効率が問題点としてあるが、改善法も提案されており、医用画像分野への貢献が期待される。 以上のことから、論文奨励賞に値すると判断した。 |
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神長 輝一 (量子科学技術研究開発機構 量子生命・医学部門 量子生命科学研究所 次世代量子センサーグループ) |
Vol.71,No.1 ノート |
マウス精巣器官培養法を活用した放射線不妊メカニズムの解析 |
本論文は、一般的なX線照射装置と鉛遮蔽材を用いて空間的に不均一な放射線被ばく条件を再現し、マウス精巣器官培養法によるex vivo精子形成系におけるマウス精子形成能の一時的な喪失と回復の過程を解析している。その結果、生殖幹細胞の移動が回復過程に関与している可能性を示唆するがん生殖医学的に重要な知見を提供している。 以上のことから、論文奨励賞に値すると判断した。 |
受賞者 (投稿時の所属) |
掲載号 論文種別 |
論文タイトル |
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授賞理由 | ||
堀内 寛仁 (早稲⽥⼤学理⼯学術院総合研究所) |
Vol.69,No.4 原著 |
電子線グラフト重合法を用いた微細構造を有する温度応答性細胞培養膜の作製 |
本論文は、生体細胞の配向性培養膜の作製及び評価を行なっている。エチレン-テトラフルオロエチレン共重合体に電子線を用いて(N-イソプロピルアクリルアミド)をグラフト重合して修飾することにより温度応答性膜を作成し、それを平行微細溝をもつSiモールドで熱インプリントすることによって、微細構造をもつ温度応答性細胞培養膜を作製した。この膜を用いると細胞が配向性をもって増殖することを示すことができた。当該論文の成果は、今後の再生医療分野の発展の基礎となるものである。 以上のことから、論文奨励賞に値すると判断した。 |
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上垣 直人 (大阪⼤学大学院工学研究科ビジネスエンジニアリング専攻) |
Vol.69,No.5 原著 |
放射線還元法を用いたメソポーラスシリカを担体とした貴金属ナノ粒子の合成 |
本論文は、放射線を使ってナノ粒子を生成する現象に着目し、その反応場を多孔質材料中の微細細孔の中にとり、局所反応場におけるナノ粒子生成反応が実際に生じていることを示した。また、金属種の化学状態から還元反応が進行していることを示した。本成果は、放射線を用いた新たな材料開発への端緒を拓くものである。 以上のことから、論文奨励賞に値すると判断した。 |
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大石 皓平 (新潟⼤学大学院自然科学研究科) |
Vol.69,No.9 原著 |
酸素・水素安定同位体比(δ18O,δD),トリチウム(T)濃度および各種イオン濃度から見た近年の新潟市の湖沼水系と降水の特徴 |
新潟市内の湖沼を対象として、水循環及び化学環境を把握するため、そのソースとなりうる降水を含め、酸素・水素同位体、トリチウム濃度、及び主要湖沼水中のイオン濃度の空間並びに時間変動を求めまとめている。一般に、この種の研究では、多様な要因が混在するため明瞭な結論を得ることは困難であるが、複数のトレーサーからなる新しい変数を導入する等、新しい研究の方向性の萌芽がみられる。 以上のことから、論⽂奨励賞に値すると判断した。 |
受賞者 (投稿時の所属) |
掲載号 論文種別 |
論文タイトル |
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授賞理由 | ||
志村 亮弥 (早稲田大学理工学術院総合研究所) |
Vol.68,No.5 原著 |
電子線グラフト重合法によるPoly(N-isopropylacrylamide)を導入した温度応答性細胞培養膜の作製 |
本論文は、微細構造を有する新規の温度応答性ポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)の細胞培養膜の作製及び評価を行っている。Si製マスクを介した電子線グラフト重合法により、微細構造を導入した細胞培養膜を従来よりも簡易的な製造工程で作製した。また、濡れ性の変化から本培養膜の剥離制御性を明らかにした。当該論文の成果は、今後の再生医療分野の発展に大いに寄与するものである。 以上のことから、論文奨励賞に値すると判断した。 | ||
千葉 悠人 (岩手大学大学院総合科学研究科) |
Vol.68,No.5 原著 |
鉱物混合による土壌のセシウム保持能の向上に対する土壌有機物の影響 |
本論文は、土壌層の放射性Cs保持能の向上を目的に、放射性Cs保持材に鉱物を用いることを検討している。土壌や鉱物の種類によって、鉱物へのCs収着量や土壌有機物による吸着の阻害の程度が異なることを明らかにした。理論的見地が少ないように感じるため、結果に基づいた吸着の状態にも少し言及してほしいところであるが、全体的には放射性Cs防止対策の実践として有用な記述が多く、今後の発展・応用が大いに期待できる。 以上のことから、論文奨励賞に値すると判断した。 | ||
増田 彩花 (近畿大学産業理工学部・産業理工学研究科) |
Vol.68,No.5 原著 |
ポリ-2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸(PAMPS)ハイドロゲルによる水溶液中のCs+の吸着・除去技術 |
水中のCs+を高効率で除去するために、PAMPSハイドロゲルを用いた技術を提案している。PAMPSハイドロゲルの架橋度を最適化することにより、高いCs+吸着能と低い吸水性を併せ持った吸着材料を軽量かつ廉価に作成した。本手法は汚染水中の放射性Cs除去のみならず、Cs以外の有害重金属除去への応用も期待できる。 以上のことから、論文奨励賞に値すると判断した。 |
受賞者 (投稿時の所属) |
掲載号 論文種別 |
論文タイトル |
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授賞理由 | ||
三本 拓也 (帝京大学中央 RI 教育研究施設) |
Vol.67,No.7 原著 |
The Potential of Dedicated Breast PET with a Ring-type Scanner--Basic Evaluation and Clinical Experience-- |
本論文は、リング型乳房専用PET装置(db-PET)の有用性を、基礎的および臨床的に評価している。三本氏は筆頭著者として、db-PETの画像の定量性および検出能が、従前の全身用PET/CT装置と比して、有意に優れていることを証明した。乳癌は罹患患者数が多く、増加傾向にあるため、当該論文の成果は社会的にも意義深いものである。 以上のことから、論文奨励賞に値すると判断した。 |
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栗田 圭輔 (量子科学技術研究開発機構高崎量子応用研究所) |
Vol.67,No.9 原著 |
Development of an Easy and Simple Method to Measure the Environmental Radioactivity in Trees with Efficient Personal Dosimeters |
本論文は、特に、福島第一原発事故に伴う、放射性セシウムが樹木に付着・吸着された場合、樹木に対するその影響が月日と共にどの程度推移するかを明らかにする手段として、市販の積算線量計を用いた簡易的測定法を提案している。実際にこの方法を測定に用い、季節変動などの測定を評価し、その計測特性を明らかにした。また、実際の測定環境での計測要件を示しており、セシウム汚染された森林の経時モニタリングに十分な利用が見込める。 以上のことから、論文奨励賞に値すると判断した。 |
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鈴木 啓真 (新潟大学大学院自然科学研究科) |
Vol.68,No.1 原著 |
福島県南相馬市における水稲及び土壌放射性セシウム濃度の経年変化―2013~2016年の調査結果から― |
本論文は、福島第一原発事故後に福島県内の水田を2013年から2016年と数年にわたり継続調査した貴重なデータが示されている。水稲は、水を圃場に取り入れた湛水状態で栽培されるが、詳細な調査の結果、水口付近にて土壌および水稲中の放射性セシウム濃度が高いことなど新しい知見を示している。 以上のことから、論文奨励賞に値すると判断した。 |
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菅原 康平 (東京大学大学院農学生命科学研究科) |
Vol.68,No.3 原著 |
Plastic Scintillators Enable Live Imaging of 32P-labelled Phosphorus Movement in Large Plants |
本論文は、複数のプラスチックシンチレータの特性を比較・検討している。最適なものを選定し、従来の光ファイバープレートの代わりに用いることにより、植物体内の32Pの挙動のリアルタイム分析に必要な検出力を維持しつつ、観察領域の画期的な大型化を廉価に実現した。放射線検出技術の基礎および実用面への貢献は多大である。 以上のことから、論文奨励賞に値すると判断した。 |
受賞者 (投稿時の所属) |
掲載号 論文種別 |
論文タイトル |
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金子 政志 (日本原子力研究開発機構原子力基礎工学研究センター) |
Vol.66,No.8 原著 |
Bonding Study on Trivalent Europium Complexes by Combining Mössbauer Isomer Shifts with Density Functional Calculations |
荒川 弘之 (帝京大学福岡医療技術学部診療放射線学科) |
Vol.67,No.1 ノート |
放射線防護教育を目的としたX線撮影室における散乱線の可視化 |
神﨑 訓枝 (岡山大学大学院保健学研究科) |
Vol.67,No.2 原著 |
Knowledge Discovery of Suppressive Effect of Disease and Increased Anti-oxidative Function by Low-dose Radiation Using Self-organizing Map |
寺林 稜平 (名古屋大学大学院工学研究科) |
Vol.67,No.3 原著 |
高感度レーザー分光に基づく生体試料中放射性炭素同位体分析システムの開発 |
受賞者 (投稿時の所属) |
掲載号 論文種別 |
論文タイトル |
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市川 有二郎 (千葉県環境研究センター) |
Vol.65,No.5 原著 |
Distribution and Behavior of Radiocaesium in Water and Sediment of Retention Basins at Kashiwa City, Chiba Prefecture |
木村 禎亮 (国立がん研究センター) |
Vol.65,No.6 原著 |
Application of HaloTag® Technology to in Vivo Molecular Imaging Using Protein Probes Labeled by Metallic Radionuclides |
山田 純也 ((国研)日本原子力研究開発機構大洗研究開発センター) |
Vol.65,No.10 原著 |
モニタリングポストのNaI(Tl)検出器で測定する波高分布から空気中131I濃度を推定するための換算係数の計算 |
大和 恵子 (岡山大学大学院保健学研究科) |
Vol.65,No.12 原著 |
Study on Antidepressant-Like Effects of Radon Inhalation on Forced Swim Induced Depression in Mice |
秦 はるひ ((国研)日本原子力研究開発機構人形峠環境技術センター) |
Vol.66,No.1 原著 |
ランダムフォレスト法によるγ線スペクトルを用いた放射性廃棄物ドラム缶の分類 |
庄中 萌 (東京農工大学大学院生物システム応用科学府) |
Vol.66,No.2 原著 |
熱発光スペクトルによるムール貝の放射線照射履歴の検知法 |
受賞者 (投稿時の所属) |
掲載号 論文種別 |
論文タイトル |
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登 達也 (東京大学大学院農学生命科学研究科) |
Vol.64,No.5 ノート |
飯舘村除染圃場で試験栽培した水稲の放射性セシウム濃度 |
山田 龍太 (新潟大学大学院自然科学研究科) |
Vol.64,No.7 原著 |
台風時における短期降水中のトリチウムと各種イオンの動態解析 |
Ying WANG (新潟大学大学院自然科学研究科) |
Vol.64,No.9 原著 |
Investigation of Tritium and Radiocaesium in Spring Water and Short Precipitation after the Fukushima Dai-ichi Nuclear Power Plant Accident |
神田 直之 (新潟大学工学部科学システム工学科) |
Vol.64,No.12 原著 |
Effect of Fukushima Daiichi Nuclear Power Plant Accident on Lakes in Fukushima Prefecture and Niigata City |
吉田 剛 (大阪大学大学院理学研究科) |
Vol.65,No.3 原著 |
Chemical Environmental Effects on Muon Transfer Process in Low Pressure Mixture Gases; H2+CO and H2+CO2 |
受賞者 (投稿時の所属) |
掲載号 論文種別 |
論文タイトル |
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杉田 亮平 (東京大学大学院農学生命科学研究科) |
Vol.63,No.5 原著 |
リアルタイムRIイメージングシステムを用いたシロイヌナズナにおける28Mgの定量解析 |
青塚 潤 (新潟大学工学部化学システム工学科) |
Vol.63,No.6 原著 |
T-for-H交換反応における各種ピリジン誘導体の速度論的反応解析と未知のニコチン酸誘導体の反応性推定への応用 |
沼田 和臣 (東京学芸大学環境科学分野) |
Vol.63,No.8 原著 |
サポナイトナノ粒子の破壊メカニズムに関する研究 |
谷 幸太郎 (放射線医学総合研究所) |
Vol.63,No.10 原著 |
安定ヨウ素剤投与時期の131I甲状腺摂取率抑制効果の評価~体内動態モデルによる日本人を対象とした計算~ |
荒牧 俊宣 (東京大学大学院農学生命科学研究科) |
Vol.64,No.3 原著 |
Application of 42K to Arabidopsis tissues using real-time radioisotope imaging system (RRIS) |